オンラインでのカスタマーエンゲージメントを変革する4つのテクノロジー

ソーシャルメディアでのブランド情報の入手やカスタマーサービスの利用、購買活動が急速に一般化している。それにともなって企業は、パーソナライズされたメッセージで、消費者へのリーチと彼らとのやりとりの手法を常に変えていく必要がある。

ソーシャルメディアマーケティングのレベルを上げるために、次の4つのテクノロジーを活用しよう。

チャットボット:オンラインメッセージの送受信数管理、カスタマーサービスの迅速化

チャットボットは、企業での導入が急速に広がり、オーディエンスとつながれる新しい方法としてマーケターに利用されている。Gartnerによれば、顧客との関係構築を目的としたチャットボットの使用は2020年までにカスタマーサービス業務の25%に及ぶと予測されている。また、FacebookのMessengerで活発に利用されているボットは30万件以上と報告されている。

ブランド企業は、ソーシャルメディア全体から生成される膨大なカスタマーメッセージを管理し、生身の人間のような対応を行うために、ますますチャットボットを利用するようになっている。人工知能(AI)によって制御されるボットは、対話を繰り返すことで賢くなり、やがてマーケターのメッセージのパーソナライズにも利用できるようになる。また、チャットボットはカスタマーサービスの合理化と迅速化を促進するため、企業は日常の問い合わせを通じた苦情処理など、より重要性の高い問題に集中できるようになる。

AI搭載の予測エンジン:詳細なインサイトを得て、ターゲットの消費者をより明確にし、コンバージョン率を向上

AIを活用したオンラインエンゲージメントは、チャットボットにとどまらない。膨大なオンラインデータの分析、詳細なインサイトの獲得、オーディエンスの行動予測、ユーザーエンゲージメントの向上にAIを活用する企業が増えている。例えば、LinkedInの高度な機械学習アルゴリズムは、場所や職歴といった情報を基に就職希望者を評価しており、就職あっせんサービスの向上に役立っている。

マーケティングの分野では、企業はデータから導きだされるインサイトによってコンバージョンの可能性が高いオーディエンスを特定し、関連性の高いカスタマイズされたメッセージでターゲットを絞ったマーケティングを展開できる。例えば、マーケターは、AppierのデータインテリジェンスプラットフォームAixon(アイソン)を活用して、新たな消費者層の開拓とその行動予測、ターゲティング広告によるコンバージョン率の向上が可能になる。

先ごろメッセージングアプリLINEと統合したAixonは、それらの機能を拡充し、企業がLINE上の消費者行動に関する強力なAIによって分析・抽出されるインサイトを得て、それらの消費者にターゲットを絞り込んだメッセージをプッシュ通知できるようにした。例えば、ユーザーがあるEコマースサイトを訪問し、ドレスをカートに追加すると、数秒後にはその商品に関連するプッシュ通知がLINEアプリに送信される。

拡張現実(AR):売上増につながる有用かつ関連性の高い消費者体験の提供

2017年には拡張現実(Augmented Reality)がゲームやエンターテインメントの枠を超え、さまざまなソーシャルメディアでAR体験を提供するブランドが増えている。2020年までに1億人の消費者がARでショッピングをすると見込まれ、新たなAR機能と顔認識システムを搭載したApple iPhone Xの発売と相まって、ソーシャルプラットフォームがAR技術を取り入れる動きがいっそう活発になるだろう。

ARは、使いようによって顧客と企業の双方にメリットがある。例えば、IKEAのアプリでは、家具を買う前に顧客が自宅のインテリアのコーディネートをバーチャルで確認でき、情報に基づくより良い選択を行うことができる。その一方で、ブランドは顧客の暮らしに合った商品を具体的に示すことでコンバージョン率と売上を伸ばすことができる。

ロレアルは、メイクアップシミュレーションアプリModiFace ARを買収し、オンラインセールスの向上を見込んでいる。ユーザーは、顔認識システムとAR技術を利用して、製品を購入する前にアプリでメイクアップのシミュレーションを行うことができる。Snapchatのシンプルなフェイスフィルターも最先端の広告手段として注目されている。

ソーシャルリスニングツール:消費者の声を収集し、コンテンツを適切にカスタマイズ

多くの企業が顧客や仲間同士がオンライン上で交わす会話の重要性を認識するようになり、ソーシャルリスニングツールの人気が高まっている。このツールによって、世間の声に耳を傾けることができ、異なるソーシャルチャネルを通じて消費者の会話に入り込める。そうした会話から生成される膨大なデータは、消費者のニーズや好みに関するインサイトが埋蔵されている金鉱脈のようなものである。

マーケターはAI機能を利用してキーワードやフレーズを特定し、消費者の属性や関心のみならず、人気のアイテムと関連する旬の話題を把握することによって、カスタマージャーニー全体で顧客の考えをより良く理解できるようになる。マーケターはそれらのインサイトを活用し、消費者の共感を生むコンテンツの作成や、必要とされるソリューションの提供を行い、消費者の生活において関連性の高い存在になることができる。

上記のテクノロジーによって、企業は多種多様で膨大な情報に基づいて精度の高い意思決定を行い、消費者へ効果的にリーチすることでターゲットを絞り込むことができる。カスタマイズされたマーケティングの時代において、常に消費者の目を引く、彼らにとって近い関係性を持つ存在になるために、これらのテクノロジーを活用することが有効だろう。

あなたはフォロワーのことをどの程度把握していますか? ~AIとLINEの連携が実現する、パーソナライズされたメッセージの配信~

執筆者:Appier ジャパン ESSチーム

Appierは、2018年4月、AI搭載のデータインテリジェンスプラットフォーム「AIXON(以下、アイソン)」とLINEビジネスコネクトとの連携を発表しました。これによりLINEビジネスコネクトの導入企業は、公式アカウントのフォロワー(友だち)に対して、趣味嗜好をユーザーレベルで把握することができるようになりました。また、趣味嗜好情報を活用したフォロワーのセグメント機能と、シームレスなメッセージ配信機能もあわせて提供します。

「LINE ビジネスコネクト」の導入企業が、「アイソン」を使って抽出したオーディエンスにメッセージを送信する操作画面

LINEビジネスコネクトとは

LINE ビジネスコネクトとは、LINEが提供するAPIと企業のシステムを連携させることで、パーソナライズされたメッセージの送信や企業とユーザーの双方向のコミュニケーション、LINE上で企業サービスの提供を実現することができるサービスです。

マーケティング上の課題

LINEは全世界で2億1,700万人以上(2018年3月実績)に登る人々に利用されている人気のメッセージングアプリであり、LINEアプリに直接メッセージ配信出来ることは非常に効率の良いマーケティングソリューションといえます。しかし、スタンプ配布等で獲得したフォロワーへのメッセージ配信の配信先や内容、頻度、タイミングによっては、多くのフォロワーにブロックされてしまうケースがあります。結果、想定ほどそのプロモーションの成果を得ることができない企業も出てきます。

Appierの提案

Appierではメッセージがブロックされる理由について、フォロワーの関心に合致していないメッセージの配信に一因があると考えています。この状況を打破するための一つの方法として、企業はフォロワーの行動特性や嗜好を理解し、それらに基づくパーソナライズされたメッセージを配信することが求められています。

アイソンは、企業が自社のサービスを通じて収集したモバイルの識別データやCookieをLINEオフィシャルアカウントのフォロワーデータと統合します。さらにこのデータセットをAppierが独自に構築したCrossX AIデータベースと連携させることで、フォロワーの趣味嗜好をユーザー個人のレベルで、把握することができます。例えば旅行先としてどこを検討しているのか、サッカーファンがどのチームをサポートしているのかといった、具体的な情報です。

このデータを元に「友だち」をセグメント化し、パーソナライズされたメッセージをタイミングよく配信することで、これまでよりも高いメッセージ開封率とリンクのクリック率を実現し、効率的なサイト誘導などが期待できます。たとえば、海外ツアーを販売する旅行代理店では、この連携機能を使い、ヤンキースとニューヨーク旅行に関心をもつ50歳代のフォロワーを見つけ、メジャーリーグ観戦ツアーのDMを配信する、キャンペーンに誘導するといったことが可能になります。

アイソンならマーケター自身がターゲットオーディエンスデータの抽出、セグメントから、メッセージ配信が可能に

Appierは、アイソンにマーケターがオーディエンスの予測・抽出の必要条件である「コンバージョン予測ブレイン」の他、7種類の分析軸(ブレイン)を搭載しています。

マーケターは、自社の施策、保有するデータセットの状況に応じて、単一もしくは複数のブレインを選択すれば、容易に施策に適したオーディエンスを抽出することができます。アイソンは、オーディエンス分析、抽出における理由を提示する機能があるため、マーケターは、データサイエンティストやエンジニアといったデータの専門家の助けがなくても、利用するデータセットやブレインの組み合わせを通して施策の「勝ちパターン」を見つけることができます。一方でアイソンのAIはデータを学習し、データベースを更新し続けるため、分析・抽出の精度が上がります。セグメントの精度が向上すれば、一人当たりにかけるマーケテイング費用対効果が上がるため、効率的にマーケティング施策が回せるようになります。

Appierは、LINEビジネスコネクトの導入企業には、アイソンによる精度の高いオーディエンスセグメンテーションの利用し、高いユーザーエンゲージメントを体験していただきたいと考えています。

*アイソンの機能や導入に関してご質問がありましたら、ページ右上の「お問い合わせ」をクリックし、問い合わせフォームにご記入下さい。

日本および韓国におけるエンタープライズソリューションセールスのSVPとしてジョシュ・ショーゼンを迎えました

執筆者:ジュンデ・ユー 最高ビジネス責任者 (CBO)

Appier は、5月7日付で日本および韓国におけるエンタープライズソリューションセールスのSVPとしてジョシュ・ショーゼン(性全)を迎えました。

性全は、Adobe、Proscape Technologies、Microsoftといった世界的なIT企業での日本やアジア地域における企業向けソフトウエアセールスおよびデジタルマーケティング分野の15年以上の経験があり、この経験をAppierでも生かしてくれると思います。彼はAppier入社前にはスマートビデオプラットフォームの開発企業、SundaySky Japanのカントリーマネジャーとして、金融機関や自動車メーカーとの戦略的パートナーエコシステムの構築に尽力しました。

Appierでは、日本と韓国のチームを統括し、2017年7月に提供を開始したAI搭載のデータインテリジェンスプラットフォームである「Aixon (アイソン)」のビジネスの強化・拡大に携わります。アイソンは、日本有数の不動産データサービス企業のLIFULLを含む日本、およびアジア地域の企業10社以上に導入され、お客様のデジタルマーケティングキャンペーンに革新をもたらしています。

今年4月にはLINEビジネスコネクトと連携するなど、アイソンの技術および機能を継続的に強化する一方、日本・韓国でマーケティングプラットフォームとデータインテリジェンスプラットフォームの両面でもビジネスを開拓していきます。特に韓国はEコマースの60~70%がモバイルデバイスを通じて行われている潜在力の高い市場であり、ショーゼンが私たちのチームメンバーになることで、Appierの日本および韓国でのビジネスが加速することを目指しています。

性全は、米国ワシントン大学を卒業後、ソリューションセールススペシャリストとしてMicrosoft社に入社し、2003年、同社グローバルアカウント部門の日本担当地域ビジネスマネジャーとして東京に異動しました。Proscape Tecnologiesで日本およびアジア太平洋地域担当のVPを務めた後、Adobe Japanにデジタルマーケティングソリューション部エンタープライズセールスのデイレクターとして2012年に入社しました。

彼は、サーフィンを始めとする様々なウォータースポーツが得意です。休日には日本や彼の第二の故郷であるハワイで、家族や友人とアウトドアのアクティビティをして過ごしています。

執筆者:ジュンデー・ユー、CBO

AppierのAI搭載のデータ・インテリジェンス・プラットフォーム「アイソン(AIXON)」を含む事業を統括しています。Appier入社以前は、アプリに関する市場データと分析ツールを提供するApp Annie社のアジア太平洋最高業務責任者を務めました。インターネット分野のスタートアップ企業で10年以上の経験を持ち、App Annieの同地域におけるセールスの第一人者として事業展開を大いに貢献しました。

 

AIがもたらすインサイトがすぐれた顧客体験を実現する

執筆者:マジック・ツー(Magic Tu)製品マネジメント担当部長、Appier, Inc.

企業にとって優れた顧客体験を提供することは、最優先課題の一つです。しかし、顧客体験を向上させるためには、彼らをよりよく理解するためのインサイトが必要です。Appierは、人工知能(AI)を活用することでインサイトの獲得を可能にしています。

 

消費者は、これまでにないほど多くの選択肢に恵まれている一方で、Webサイトやモバイルアプリが使いやすくなったことから競合サービスに簡単に切り替えることができます。多くの企業は、こうした流動的なデジタル経済において新規顧客を獲得し、既存顧客を維持するというプレッシャーに直面しています。企業が市場で優位に立つためには顧客体験を向上させることが重要であると考えています。しかし、彼らはそのためには、顧客をより深く理解する必要があります。

顧客をより深く理解する

企業と顧客との相互作用の結果として定義される顧客体験は、単純に企業が提供するサービスや価格によって決定されるのではなく、顧客にとって最も重要なことに一貫して対応することによって決定されます。たとえば、頻繁に旅行をする宿泊客は、チェックインの対応が遅いことに不満を抱いた場合、そのホテルに最高級のプールやジムが備わっていても、否定的な印象を残す可能性があります。一方、家族を連れて旅行中の宿泊客は、同様にチェックインの対応が遅くても、幼い子供が寝るために無料のベッドが提供された場合、逆に良い思い出を残す可能性があります。

時間が経つにつれ、このような顧客体験の積み重ねは、顧客が宿泊先を競合ホテルに切り替えるのか、または忠実な顧客として残るのかを決定づける転換点に達します。そのため、それぞれの顧客が何を求めているのかを理解し、それを提供することが並外れた顧客体験につながると言えます。

街角にあるコーヒーショップのバリスタにとっては、常連客の好みを覚え、名前で挨拶することが好ましい顧客体験の提供につながるかもしれません。しかし、ほとんどの企業にとっては、これは現実的な話ではありません。企業が顧客をより深く理解できる唯一の現実的な方法は、顧客の記録と取引データを分析し、それぞれの好みや一般的なトレンドに関するインサイトを得ることです。そして、これらのインサイトを活用することで、既存サービスの向上、新規機能の開発、それぞれの顧客に合わせてカスタマイズされたプロモーションなどが可能になります。

残念なことに、顧客動向に関して統一された視点を得ることに、ほとんどの企業が苦労しており、現代の消費者が企業とコミュニケーションを取る手段が増えすぎていることも、顧客の理解を複雑化しています。

AIの力

ここにAIが果たす役割があります。膨大な量のデータを休むことなく正確に分析できるため、これまでのやり方では不可能だった画期的なインサイトを企業にもたらします。このインサイトを元にビジネスのアイディアを企画実行することで競争優位性を得られるでしょう。AIにより、マーケターやプロダクトマネージャーは、自分たちの本能を頼りにする「直感主導」のマーケティングアプローチから離れ、データ主導の戦略に移行することが可能になります。

AIは、多数の情報ソースからの顧客データを相互参照することで、顧客に関する正確なモデルを構築し、顧客にリーチする最良の方法を提示します。

また、顧客の将来的な行動の予測に活用できるインサイトを得ることで、マーケターは自社のキャンペーンを進化させることができます。現在、マーケターが利用できる最もエキサイティングなツールの一つに、AIによる「予測したオーディエンスのセグメンテーション機能」があります。企業は、予測分析の大分類として予測したオーディエンスのセグメンテーションを活用することで、KPI(重要業績評価指標)にかかわらず、販売量、クリック数、インストール率などにコンバージョンする可能性が最も高いターゲットオーディエンスを特定できるようになります。

最も進化した予測したオーディエンスのセグメンテーションツールは、顧客データベースやインターネットの閲覧・検索履歴から収集した行動パターンを分析し、精度の高いリードを抽出することで、トレンドを特定する属性データに統合します。このツールにより顧客のセグメントの質を向上させることにつながります。さらにこのデータを分析し、新規オーディエンスの発掘や拡大に役立つ様々な指標(レコメンデーション)を提示することも可能です。

台湾のメディアグループ大手であるコモンウェルスマガジンは、新規顧客の開拓にAppierの「アイソン」プラットフォームの「予測したオーディエンスのセグメンテーション機能」を活用したことで、同社サイトの購読者および販売が400%以上増加しました。

データ主導の世界

今や経済活動を主導するのはデータであり、AIが重要な技術であることに疑いの余地はありません。伝統的なマーケティングプロモーションは、過去のデータに基づく推測から発案されたものです。多くの企業は経験豊富な従業員の知見や経験によってプロモーションを企画・実行しますが、それらはすでに有効性を失っていたり、拡張性が低い可能性が高いのです。一方、AIを利用することで、データから適切なインサイトを獲得し、それをプロモーションに活用することが可能になります。

AIは、ビジネス上のすべての問題を解決できるわけではありません。AIを上手に適用させるには、分析に必要なボリュームのデータを収集し、構造化されたプロセスを正確に実行する必要があります。こうした環境でAIを稼働させることができれば、AIは休むことなく正確にデータを処理、分析します。AppierはAIが導きだすインサイトによって企業はイノベーションを推進し、ビジネスに目に見える恩恵をもたらす可能性が高いと確信しています。

執筆者:マジック・ツー(Magic Tu)製品マネジメント担当部長、Appier, Inc.

2016年にAppierに入社以来、研究開発、プロダクトマネジメント、マーケティング、営業などの様々なチームと連携しながら、製品の企画段階から市場投入までのプロセスの合理化、円滑化業務を統括。Appier入社以前には、スマートフォンと仮想現実(VR)機器メーカーのHTC社にてソフトウェア製品マネジメント担当のディレクターとして、HTCが独自の設計思想で開発するユーザーエクスペリエンスであるHTC Sense のプランニングを担当。同社ではプログラムマネジメントチームを統括し、Google、Yahoo、マイクロソフト、ノキアなどのベンダーやパートナーとの共同プロジェクトの管理運営を行った。HTC社以前には、台湾の電子設計オートメーション分野において有数の企業であるSpringsoft 社(現 Synopsys社)のリード開発者を務めた。国立台湾大学にてコンピュータ・サイエンスの学士、修士を取得。

 

 

 

2018年は、AIが喜びと驚きをもたらす年に

シュアン・テン・リン(Dr. Hsuan-Tien Lin)、Appierチーフデータサイエンティスト

現在、深層学習および機械学習技術を基盤とする人工知能(AI)システムは、企業の様々な場面で活用されています。活用事例として、営業活動の支援、業務の効率化、生産性を向上させる新しいインサイトの提供などが挙げられます。この技術は、多種多様なハードウェアとソフトウェアに搭載され、腕時計、通信機器、自動車などに活用されています。AIは、その高い有用性ゆえ、AIおよび認知システムに関連する世界的な消費額が2017年には125億ドルに達し、2016年に比べて59.3%増加するとIDCは予測しています。

主要業界アナリストは、AI技術の使用が2017年に変曲点に達したと述べており、Appierも同意するところです。Deepmind社は、2017年10月、同社のAlphaGo Zero AIが過去の対局をまったく参照せずに囲碁の打ち方を学習し、先代システムを打ち負かしたと発表しました。また、ベルギーのルーヴェン市に本部を置く国際研究機関Imecは、2017年、オリジナルの音楽を作曲するだけでなく、新しいタイプの音楽を参照させるだけで、いろいろなジャンルの音楽を作曲できるように学習する、自己学習型チップを発表しました。こうした飛躍的な進展以前は、求めている結果を得るために既存のデータセットをトレーニングする必要があり、自己学習は不可能と考えられていたのです。

2017年において数多くのAIを取り巻くニュースや進展がありましたが、Appierでは、2018年も引き続きAIの世界がサイエンスフィクションそのままの、驚くような能力をもたらすであろうと考えています:

  1. AIは、より速く、正確に、万能になる

私たちは現在、AI技術が主流になるであろう2020年に向かって進んでいます。Gartnerは、AIが多くのアプリケーションやサービスで活用され、企業におけるデジタル化への取り組みが2025年まで実質的な利益につながると分析しています。また、IDCは、AIおよび認知システムに関連する消費額においてアジア太平洋地域が2020年までに世界第二位の地域になると予測しています。

今後もAI研究で多くの偉業が達成されることが予想されます。AIがより大規模で高性能のハードウェアとソフトウェアの発展を牽引することで、企業は、今までより正確な予測や推奨を実現させるようになります。また、AIは、アプリケーションの開発や導入を自動化できるため、革新的な製品やサービスの市場投入までの時間を短縮できるようになります。一方、企業にとっては、特定の市場セグメントにターゲットを絞り、少数のカスタマイズしたブランドを顧客の嗜好に合わせて順次アップデートすることで、大量生産が不要になる可能性もあります。

  1. AIは、実用的なビジネスコンサルタントになる

AIは現在、すでにビジネスに関連するデータの意味を理解しており、マーケティングの強化や業務の質の改善に役立てることができる情報の獲得や予測に貢献しています。Appierの、AIをベースにしたアイソン(Aixon)プラットフォームは、消費者動向の予測に貢献しており、アイソンの導入企業は増加しています。ベンダー各社は、AI技術がもたらす量的および質的メリットを紹介できるようになります。そしてより多くの企業がAIによる成果を実感することで、AIシステムを積極的に採用し、その推奨への信頼性が高まることのなると予想されます。

  1. AIは、核心的な技術になる

Appierでは、AIがより核心的な技術として活用されると考えています。 AIは、2011年から2015年まで、その将来性を発揮し、2016年から2020年までには、ますます商用化が進みます。 2020年からは、私たちの生活や、問題を解決するために効果的に使われる技術として不可欠なものになることでしょう。

私たちは現在、2016年から2020年というサイクルの真っ只中です。AIを搭載したシステムは、2018年には、さまざまな商用トライアルで性能が試され、より多くの都市の限定的な環境に導入されることになるでしょう。また、より多くのベンダーは、市場の需要に応え、AIによるデータ分析を可能にするビジネス関連ソフトウェアやサービスを提供することになります。アプリケーションに関しては、ブランドに興味を失う可能性がある(離脱する)顧客を予測したり、よりパーソナライズされた接客方法を推奨したりすることで、顧客の獲得や維持を容易にするソフトウェアが一般的になります。

  1. AIは、ユーザーインターフェイスとして信頼を得る

AppleのSiriやAmazonのAlexaなど、チャットボットや音声作動式のデジタルアシスタントは、2018年には、よりスマートで万能になるため、より多くの人が物事をこなすために使うようになり、より多くの企業が一次レベルの顧客サービスに採用するようになります。これらのアプリケーションは、音声やタイピングによる会話をAIによって理解し、従来のソフトウェアよりも知的に人と交流することが可能になります。

Beige Market Intelligenceは、チャットボットの有用性に関する認識が広まるにつれ、2016年から2022年の間にチャットボットの世界市場が28%以上の年平均成長率(CAGR)を記録すると予測しています。Forresterは、『2018年予測:デジタルディスラプションがB2Bマーケティングの新たな常識になる』と題されたレポートで、より多くのベンダーがこの市場に参入すると報告しています。また、Forresterは、この技術が潜在顧客を発掘するのに十分強力になり、それに応じてフォローアップすることも可能になると予測しています。チャットボットやバーチャルアシスタントは通常、短い対話を処理しますが、近い将来には、長い会話を認識するようになる可能性もあります。

AIが私たちの生活に果たす役割

AIを導入することで私たちの暮らしや仕事は変化するでしょう。AIは、同じことを繰り返す、時間のかかるような仕事や、危険な場所での仕事など、人間よりも多くの作業をこなすことができます。しかし、AIが人間に置き換わり、すべての仕事を刷るようにはなりません。新しいAIを基盤とするアプリケーションは、私たちの生活水準を向上させ、私たちがしたいことにより多くの時間を費やせるようにしてくれます。

CapGeminiの調査では、世界の8割の企業で、まったく新しいタイプの仕事が生まれる可能性があると報告しています。今後は、データサイエンティストやプロジェクトマネージャーといった仕事が求められるようになります。AIによって社会やビジネスが再編される可能性がある中で、将来どのようなスキルが必要になるのかを想像することは難しいことです。私たちがキャリアを構築するために自分で強化できる重要なスキルは、変化に素早く適応できる能力です。

AIシステムのトレーニングに使用できる現実世界の顧客データをすでに保有している企業は、近い将来、先頭集団として他をリードすることになるでしょう。Gartnerは、すでに企業の59%がAI戦略に取り組んでおり、その他の企業もAIソリューションをテストしている段階にあると報告しています。アジア太平洋地域では、企業がAIについて真剣に捉える時が来ています。

われわれが今から実行すべきこと、それは、AIがもたらす世界に適応するための準備です。AIに対応できる人材を養成しますか?導入予定の技術にAIのコンポーネントが含まれているのかを調べましたか?または、独自のAI技術を社内で開発すること検討していますか?今から取り組めば将来、必ず役に立つはずです。

シュアン・テン・リン

リンは、アジアの人工知能コミュニティの中心的人物。国立台湾大学のコンピュータ・サイエンスおよびデータエンジニアリング学部の准教授からAppier のChief Data Scientistに就任。リンの研究対象は、機械学習の理論基盤、新しい学習課題の研究や学習アルゴリズムの改善などが含まれます。

 

 

2010年から2013年の間、リンは国立台湾大学のチームを共同統括し、機械学習の競技会であるKDD Cupにおいて同チームを6度の優勝に導きました。彼の共著である初歩の機械学習の教科書「データから学習すること(Learning from Data)」はアマゾンのベストセラーです。

コーセラ (Coursera)が運営するオン・ライン学習において、機械学習コースを担当し、これまでに数百万回視聴されています。(コーセラとは、スタンフォード大学コンピュータサイエンス教授Andrew NgとDaphne Kollerによって創立された教育技術の営利団体。世界中の多くの大学と協力し、それらの大学のコースのいくつかを無償でオンライン上に提供。)2013年、2014年に台湾人工知能学会の事務局長を務めました。

リンは、カリフォルニア工科大学からコンピュータサイエンスの博士号、修士号を取得。AppierのCDS就任前には、コンサルタントとして同社を支援していました。

【受賞歴】

  • 2017年 Foundation for the Advancement of Outstanding Scholarship (FAOS)から若手研究者におけるクリエイティブアワードを受賞
  • 2013年 台湾国立科学カウンシルから-Y. Wu 記念賞を受賞
  • 2012年 ACM(Association for Computing Machinery)台北支部から-T. Li 若手研究者賞を受賞 <国立台湾大学からの受賞>
  • 2016年 優秀教授賞
  • 2013年 優秀メンター賞
  • 2011年 功労教授賞