AIでアドフラウドを撃退

ジョー・スー、最高技術責任者(CTO)、Appier

アドフラウド、つまり広告詐欺は、デジタル広告業界にとって大きな脅威となっています。全米広告主協会によると、アドフラウドによる企業の損失額は、2017年に65億ドルになると予測されています。また、Juniper Researchによる最新の報告書は、2018年にはアドフラウドによって広告主が190億ドルの損失を受けると予測し、その深刻な実態を明らかにしています。これは、オンラインおよびモバイル機器上の広告を対象にしたものであり、その損失は今後も拡大を続け、2022年には440億ドルに達する恐れがあります。

業界はこれまで、アドフラウドによる損失を軽減する効果的な方法を模索し、多大なリソースを費やしてきました。ここであえて「軽減」という言葉を使うのは、サイバーフラウドや金融フラウドと同様、アドフラウドの問題を完全に根絶する方法がないためです。つまり、悪事を働く者よりも、常に一歩先の対策を施すしかないのです。

これまでのアドフラウド対策は、そのほとんどが人間の定義するルールベースの手法に頼ってきました。単純な不正行為に対抗するには効果的な方法ですが、アドフラウドはより巧妙化しており、従来の対策では不十分となっているのが現状です。

AIベースのアプローチ

アドフラウドがより巧妙化し、その検出が困難になるに従い、不正検出メカニズムも並行して進化しないとなりません。これを実現する唯一の方法は、人工知能(AI)を利用することです。

AIベースのアドフラウド検出システムは、基本的にルールベースのアプローチから始まりますが、自己学習することで、検出された疑わしい各アクティビティを学習し、防止レイヤーを構築します。また、AIベースのモデルは、従来のモデルよりも、より多くの次元でパターンを判別できるという利点もあります。

通常、従来のルールベースのモデルは、1から3次元のアクティビティを分析しますが、AIベースのモデルは、80以上の次元を一度に分析できるため、非常に精巧な不正パターンを検出することが可能です。また、自己学習するAIベースのモデルは、従来のシステムを回避する新しい不正パターンに対応し、自ら進化することもできます。

AIベースのアプローチの優位性を実際のキャンペーンで検証

Appierは、AIベースのアプローチによる優位性を実証するため、2017年5月から8月の4か月間、アドクリックやアプリのインストールを含む、40億件以上のキャンペーンデータポイントを自社ネットワーク上で検証しました。その結果、AIベースのアドフラウド検出モデルは、従来のルールベースによる検出方法と比較して、2倍の不正行為を特定できることが明らかになりました。また、AIベースは、広告主にとってコスト効率も高く、従来のルールベースよりも、3.6%高い費用対効果(ROAS)を生むことも実証されました。

AIベースのアプローチの最大の優位性は、これまで報告されていなかった精巧なアドフラウドのパターンを検出できる能力です。AppierのAIシステムが検出した不正パターンの一つは、私たちが「カメレオン型」と呼んでいるものです。これは、不正なサイト運営者が、最初は正当なサイトとして装い、後から不正なインストールを実行させるものです。

当社のAIが検出したもう一つの疑わしいパターンは、私たちが「インベントリーバースト型」と呼んでいるものです。このパターンでは、不正なサイト運営者が、アプリ内で適切レベルのデータ通信が行われていないにもかかわらず、異常に高い広告表示回数を発生させるものです。

最後に

Appierによる同調査の詳細は、こちらからダウンロードできます。アドフラウドは現在、業界に何十億ドルもの損失を与えており、検出することが非常に困難になっています。従来のルールベースによる手法には、ますます巧妙化している新しいアドフラウドのパターンを検出する上で限界があります。そのため、アドフラウドを撃退するには、多次元データを分析する能力と自己学習能力を備えたAIベースのアプローチの方がより優れているのです。

ジョー・スーは、Appierの最高技術責任者(CTO)兼共同創業者です。スーは、高校時代からシステムのハッキングや開発を行っており、高校生で、台湾の国家機関である、高速コンピューティングプログラムが開催した第三回のコンテストにて優勝しました。その後もソーシャルゲーム、VoIP、分散コンピューティング、オンライン上の地理情報など、様々な分野でのシステム設計・開発に携わっていました。Appier 入社以前には、高機能モバイルソーシャルゲームの開発を行う独立系のゲーム会社、Plaxie社を共同で創業、経営した経験があります。それ以前は、Artdio Technology社でプログラマーを務め、台湾有数のハイテク研究開発機関であるITRIのコンピュータ&コミュニケーション研究所にて調査に従事しました。

 

2018年は、AIが喜びと驚きをもたらす年に

シュアン・テン・リン(Dr. Hsuan-Tien Lin)、Appierチーフデータサイエンティスト

現在、深層学習および機械学習技術を基盤とする人工知能(AI)システムは、企業の様々な場面で活用されています。活用事例として、営業活動の支援、業務の効率化、生産性を向上させる新しいインサイトの提供などが挙げられます。この技術は、多種多様なハードウェアとソフトウェアに搭載され、腕時計、通信機器、自動車などに活用されています。AIは、その高い有用性ゆえ、AIおよび認知システムに関連する世界的な消費額が2017年には125億ドルに達し、2016年に比べて59.3%増加するとIDCは予測しています。

主要業界アナリストは、AI技術の使用が2017年に変曲点に達したと述べており、Appierも同意するところです。Deepmind社は、2017年10月、同社のAlphaGo Zero AIが過去の対局をまったく参照せずに囲碁の打ち方を学習し、先代システムを打ち負かしたと発表しました。また、ベルギーのルーヴェン市に本部を置く国際研究機関Imecは、2017年、オリジナルの音楽を作曲するだけでなく、新しいタイプの音楽を参照させるだけで、いろいろなジャンルの音楽を作曲できるように学習する、自己学習型チップを発表しました。こうした飛躍的な進展以前は、求めている結果を得るために既存のデータセットをトレーニングする必要があり、自己学習は不可能と考えられていたのです。

2017年において数多くのAIを取り巻くニュースや進展がありましたが、Appierでは、2018年も引き続きAIの世界がサイエンスフィクションそのままの、驚くような能力をもたらすであろうと考えています:

  1. AIは、より速く、正確に、万能になる

私たちは現在、AI技術が主流になるであろう2020年に向かって進んでいます。Gartnerは、AIが多くのアプリケーションやサービスで活用され、企業におけるデジタル化への取り組みが2025年まで実質的な利益につながると分析しています。また、IDCは、AIおよび認知システムに関連する消費額においてアジア太平洋地域が2020年までに世界第二位の地域になると予測しています。

今後もAI研究で多くの偉業が達成されることが予想されます。AIがより大規模で高性能のハードウェアとソフトウェアの発展を牽引することで、企業は、今までより正確な予測や推奨を実現させるようになります。また、AIは、アプリケーションの開発や導入を自動化できるため、革新的な製品やサービスの市場投入までの時間を短縮できるようになります。一方、企業にとっては、特定の市場セグメントにターゲットを絞り、少数のカスタマイズしたブランドを顧客の嗜好に合わせて順次アップデートすることで、大量生産が不要になる可能性もあります。

  1. AIは、実用的なビジネスコンサルタントになる

AIは現在、すでにビジネスに関連するデータの意味を理解しており、マーケティングの強化や業務の質の改善に役立てることができる情報の獲得や予測に貢献しています。Appierの、AIをベースにしたアイソン(Aixon)プラットフォームは、消費者動向の予測に貢献しており、アイソンの導入企業は増加しています。ベンダー各社は、AI技術がもたらす量的および質的メリットを紹介できるようになります。そしてより多くの企業がAIによる成果を実感することで、AIシステムを積極的に採用し、その推奨への信頼性が高まることのなると予想されます。

  1. AIは、核心的な技術になる

Appierでは、AIがより核心的な技術として活用されると考えています。 AIは、2011年から2015年まで、その将来性を発揮し、2016年から2020年までには、ますます商用化が進みます。 2020年からは、私たちの生活や、問題を解決するために効果的に使われる技術として不可欠なものになることでしょう。

私たちは現在、2016年から2020年というサイクルの真っ只中です。AIを搭載したシステムは、2018年には、さまざまな商用トライアルで性能が試され、より多くの都市の限定的な環境に導入されることになるでしょう。また、より多くのベンダーは、市場の需要に応え、AIによるデータ分析を可能にするビジネス関連ソフトウェアやサービスを提供することになります。アプリケーションに関しては、ブランドに興味を失う可能性がある(離脱する)顧客を予測したり、よりパーソナライズされた接客方法を推奨したりすることで、顧客の獲得や維持を容易にするソフトウェアが一般的になります。

  1. AIは、ユーザーインターフェイスとして信頼を得る

AppleのSiriやAmazonのAlexaなど、チャットボットや音声作動式のデジタルアシスタントは、2018年には、よりスマートで万能になるため、より多くの人が物事をこなすために使うようになり、より多くの企業が一次レベルの顧客サービスに採用するようになります。これらのアプリケーションは、音声やタイピングによる会話をAIによって理解し、従来のソフトウェアよりも知的に人と交流することが可能になります。

Beige Market Intelligenceは、チャットボットの有用性に関する認識が広まるにつれ、2016年から2022年の間にチャットボットの世界市場が28%以上の年平均成長率(CAGR)を記録すると予測しています。Forresterは、『2018年予測:デジタルディスラプションがB2Bマーケティングの新たな常識になる』と題されたレポートで、より多くのベンダーがこの市場に参入すると報告しています。また、Forresterは、この技術が潜在顧客を発掘するのに十分強力になり、それに応じてフォローアップすることも可能になると予測しています。チャットボットやバーチャルアシスタントは通常、短い対話を処理しますが、近い将来には、長い会話を認識するようになる可能性もあります。

AIが私たちの生活に果たす役割

AIを導入することで私たちの暮らしや仕事は変化するでしょう。AIは、同じことを繰り返す、時間のかかるような仕事や、危険な場所での仕事など、人間よりも多くの作業をこなすことができます。しかし、AIが人間に置き換わり、すべての仕事を刷るようにはなりません。新しいAIを基盤とするアプリケーションは、私たちの生活水準を向上させ、私たちがしたいことにより多くの時間を費やせるようにしてくれます。

CapGeminiの調査では、世界の8割の企業で、まったく新しいタイプの仕事が生まれる可能性があると報告しています。今後は、データサイエンティストやプロジェクトマネージャーといった仕事が求められるようになります。AIによって社会やビジネスが再編される可能性がある中で、将来どのようなスキルが必要になるのかを想像することは難しいことです。私たちがキャリアを構築するために自分で強化できる重要なスキルは、変化に素早く適応できる能力です。

AIシステムのトレーニングに使用できる現実世界の顧客データをすでに保有している企業は、近い将来、先頭集団として他をリードすることになるでしょう。Gartnerは、すでに企業の59%がAI戦略に取り組んでおり、その他の企業もAIソリューションをテストしている段階にあると報告しています。アジア太平洋地域では、企業がAIについて真剣に捉える時が来ています。

われわれが今から実行すべきこと、それは、AIがもたらす世界に適応するための準備です。AIに対応できる人材を養成しますか?導入予定の技術にAIのコンポーネントが含まれているのかを調べましたか?または、独自のAI技術を社内で開発すること検討していますか?今から取り組めば将来、必ず役に立つはずです。

シュアン・テン・リン

リンは、アジアの人工知能コミュニティの中心的人物。国立台湾大学のコンピュータ・サイエンスおよびデータエンジニアリング学部の准教授からAppier のChief Data Scientistに就任。リンの研究対象は、機械学習の理論基盤、新しい学習課題の研究や学習アルゴリズムの改善などが含まれます。

 

 

2010年から2013年の間、リンは国立台湾大学のチームを共同統括し、機械学習の競技会であるKDD Cupにおいて同チームを6度の優勝に導きました。彼の共著である初歩の機械学習の教科書「データから学習すること(Learning from Data)」はアマゾンのベストセラーです。

コーセラ (Coursera)が運営するオン・ライン学習において、機械学習コースを担当し、これまでに数百万回視聴されています。(コーセラとは、スタンフォード大学コンピュータサイエンス教授Andrew NgとDaphne Kollerによって創立された教育技術の営利団体。世界中の多くの大学と協力し、それらの大学のコースのいくつかを無償でオンライン上に提供。)2013年、2014年に台湾人工知能学会の事務局長を務めました。

リンは、カリフォルニア工科大学からコンピュータサイエンスの博士号、修士号を取得。AppierのCDS就任前には、コンサルタントとして同社を支援していました。

【受賞歴】

  • 2017年 Foundation for the Advancement of Outstanding Scholarship (FAOS)から若手研究者におけるクリエイティブアワードを受賞
  • 2013年 台湾国立科学カウンシルから-Y. Wu 記念賞を受賞
  • 2012年 ACM(Association for Computing Machinery)台北支部から-T. Li 若手研究者賞を受賞 <国立台湾大学からの受賞>
  • 2016年 優秀教授賞
  • 2013年 優秀メンター賞
  • 2011年 功労教授賞

 

Appier設立5年を振返り、次の5年の課題に挑む

CEO兼共同創業者 チハン・ユー, Appier

僕が5年前にAppierを始めた頃、人工知能(AI)は今ほど盛り上がっていませんでした。今やAIが毎日いろいろなところで話題になっていることを考えると、Appierの最初のビジネスアイディアが、ハーバード大学の寄宿舎でのブレインストームから生まれてきたことが信じられません。そして最初の顧客が僕達を信頼して発注してくれた時の喜びを今でも鮮明に覚えています。

これまで僕達は多くの困難にぶち当たり、そこから多くのことを学びました。アントレプレナーとしての僕らの初めての学びは、「夢は大きく、失敗を恐れない」ということでした。僕達はこの起業家精神を会社が成長していく過程においても大切にしてきました。そして僕達は社員たちにも起業家精神を大切にしてほしいと考えています。リスクや失敗に真摯に対応しなければ、誰も考えたことのないような奇抜なアイディアが生まれてくることはないだろうと思うのです。

僕らがAppierを設立以来つねに考えていることは、僕らの製品を通してAIが社会と産業に実際的な影響を与えることができるかということです。そしてAI技術を活用したソーシャルゲームから企業向けのマーケティングおよびデータインテリジェンスプラットフォームで成功するまでに8つの転換点を経験しました。僕らはこれまで決して諦めず、8つの転換点を乗り越え、Appierを進化させてきました。

僕達4人で始めたスタートアップが、今ではFORTUNE誌からAIの革新を牽引する重要な企業の1社として認められる立場に成長しました。Appierはアジア地域でのビジネスネットワークを拡大し、現在1,000社の企業や代理店と取引しています。そして多様性に溢れた人材を採用しています。僕の人生で最高の出来事は、明晰で才能あふれる同僚達に囲まれて仕事ができる機会を得られたことです。

今後5年かけて僕達は「Cross X プログラマティック」および「アイソン」プラットフォームといったAIソリューションの製品ラインを拡大し機能を追加していきます。これにより、AI技術の進化を自社の優位性につなげたい企業のニーズに対応します。これらの取り組みには人材が必要です。アジア地域におけるエンジニアリングとAI研究開発力を強化するためにも今後も優秀な人材を採用し続けます。

僕達はAppierを支援し、励まし、信じてくれた皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。僕らにとってこれまでの5年間は準備段階のようなものです。Appierは新しい課題に挑み始めています、次の5年でどのように進化できるか期待していて下さい。

著者について:

チハン・ユーは、Appierの共同創業者で最高経営責任者(CEO)です。チハンは、ハーバード大学とスタンフォード大学の研究室に在籍した経歴を持ち、AI(人工知能)、ロ ボティクス、機械学習の分野で多数の研究論文を執筆してきました。米国特許を2件取得しています。 2010年ハーバード大学でコンピューターサイエンスの博士号を取得しています。ハーバード大学在学時は、ワイス応用生物学エンジニアリング研究所と共同で、ポリオ患者の歩行を支援する自己適応型ロボ ティクスシステムを開発しました。彼の博士論文は、マルチエージェントAI分野の最優秀論文賞にも選 ばれています。ハーバード大学入学以前には、スタンフォード大学で修士号を取得しており、ここではDARPA Grand Challengeで優勝したプロトタイプ「Stanley」の開発チームに参加し、Googleロボットカープロジェクトの礎を築きました。 2016年3月に、世界経済フォーラムの「2016年度 ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出されまし た。Appierは、選出リストの中で唯一のアジア地域のAI企業でした。.

Technical Insights: GraphQL による開発

ジョンソン・リャン, フロントエンドエンジニア, Appier

Appierでは、GraphQLを1年間使用してきました。GraphQLは、当社の主要AIプラットフォームの1つであるAixonのクライアント/サーバー間の通信に使われています。「オブジェクトフィールド」という概念やリゾルバなど、GraphQLのユニークな特性から多くのメリットを得ています。すべての入出力をホワイトリスト化する宣言型のアプローチは、プログラミングインターフェイスを構築するツールとして非常に役に立っています。

このプレゼンテーションは、GraphQLの入門的なものであり、もともとはAppier社内の他の製品チーム向けに作成されたものです。特に、これまでGraphQLを使ったことがないNode.jsおよび Python開発者を意識しています。独自のGraphQLスキーマを構築し、GraphQL APIサーバーを稼働させるために知っておくべき基本的なトピックをすべてカバーし、両プログラミング言語の簡潔なサンプルコードを紹介しています。

GraphQLの高度な概念を説明しているものは、すでにインターネット上に多くありますので、このプレゼンテーションでは、GraphQLを実行させるために必要な実際のソースコードに重点を置き、GraphQLを理解するための、より実用的な視点を紹介したいと思います。

このプレゼンテーションでは、次のようなトピックをカバーしています。
– GraphQLサーバーの基本
– APIシェイプの定義 – GraphQLスキーマ
– オブジェクトフィールドの設定
– 変異型API
– GraphQLサーバーへのリクエスト送信
– N + 1クエリ問題の解決:DataLoader

GraphQLに興味のある開発者の皆さんに役に立つ情報になれば幸いです。

アジアの消費者インサイトを必要としている企業にとってAIが果たす役割

著者:ジェニー・ジョンソン、Appierマーケティング責任者

人工知能(AI)は間違いなく、今日最も話題になっている技術の1つですが、話題になるにはそれなりの理由があります。計算能力、処理性能やストレージの進歩、そして新しいモバイルおよびクラウド技術によって生成された膨大な量のデータ、それらがすべて重ね合わさり、現在AIという分野でかつてのルネッサンスのような革命が起こっているのです。

一方、こうした要因の重ね合わせは、山のようなデータを生み出すだけでなく、すべてを理解しようとする企業にとって頭痛の種にもなっています。Appierでは、2012年の創業以来、アジアで無数の匿名デバイスプロファイルをデータベースとして蓄積してきました。その数は現在も増え続け、AIの学習に応用されています。これらのデータは、この地域のクロスデバイス利用動向に関し、有益なインサイトを提供してくれるものです。

本日は、Appierが1.8兆以上のキャンペーンデータポイントを分析し、先日発表した『2016年下半期クロスデバイス利用動向調査』から、ハイライトを共有したいと思います。

企業にとってこのレポートの主要なポイントの1つは、消費者のデバイス間にわたる行動を理解することの重要性です。消費者によるデバイスの利用パターンが複雑なため、マーケターが従来の技術を使用して消費者にリーチすることが難しくなっています。この課題に対しAppierでは、AIを活用することで、膨大なデータポイントを高速に処理し、パターンを検出、さらに将来の行動を予測することが可能になっています。

ここでは、調査で明らかになった重要な傾向をいくつか紹介します。

1. アジアの消費者を理解するには、クロスデバイスという視点が不可欠
アジア全体のインターネットユーザーのうち、51%が2台以上のデバイスを所有しています。しかも、その半数以上が4台以上のデバイスを定期的に切り替えて使用しています(全ユーザーの26%)。複数のデバイスを利用しているユーザーを地域別で見ると、台湾がアジアで一番多く、その40%が4台以上のデバイスを利用しています。次にオーストラリアと日本(29%)、シンガポール(28%)、香港(27%)という順になっています。

アジアにおけるモバイルの重要性について多くの話を耳にしますが、当社のデータが明らかにしているように、シングルデバイスという視点では、アジアのユーザーがオンラインでどのように行動しているのか、その全体像を見ることができません。ユーザーの動向を完全に理解するには、クロスデバイスという視点が不可欠になります。

モバイルを常に触っている人が多いアジアでさえ、昼間の時間帯に限っては、モバイルよりもPCからウェブサイトにアクセスするユーザーの方が多いのです。しかし夜になると、この傾向が逆転します。正確には、PCからのページビューは14時から15時の間が最も多く、モバイルからのページビューは21時から22時の間にピークを迎えます。

このレポートが明らかにしているもう1つの重要なポイントは、アジアのユーザーがオンライン広告に対し、利用しているデバイスによって異なる反応を示すことです。平均して、79%のユーザーが複数のデバイスにわたって若干または完全に異なる行動をとっています。そのうち、35%が完全に異なる行動を見せています。また、このユーザー行動には地域によって大きな違いもあります。韓国は88%が完全に異なるという結果になり、最も多様な行動をとっていますが、反対に香港は51%という結果になっています。

2. デバイス間の利用データをリンクさせることが、企業全体のデータ戦略にとって不可欠
デバイス間のデータを分析することで、利用動向に関する全体像を把握することができ、効果的なマーケティングキャンペーンの計画が可能になります。こうした詳細な分析は、マーケターにとって重要なことですが、企業の他の部門にとっても有益です。たとえば、人事部門がAIを活用することで、人員の補充が必要と思われる最適な部門を判断し、その部門の満足度を向上させることや、人事部門が求める主要なスキルを特定することが可能になります。

3. より豊富なデータセットが、より正確なROIを実現する効果的なキャンペーンにつながる
当社のデータでは、クロスデバイスによるキャンペーンの方が、単一のデバイスによるキャンペーンよりもつねに高いパフォーマンスになることを示しています。ベトナムでのクリックスルー率は、クロスデバイスによるキャンペーンの方が54%も高く、オーストラリアでは53%も高い割合になっています。また、インドでは48%、台湾では36%、香港では27%、日本と韓国では19%という結果になっています。

クロスデバイスを使ったキャンペーンにAppierのAIプラットフォームを活用することで、マーケターにとって重要な情報である最終コンバージョンデバイスを正確に特定することができます。アジア全体では、スマートフォンが最終コンバージョンデバイスの46%を占めています。このデータでも、他のデータと同様に、国によって大きな違いを見せています。

PCが最も多い最終コンバージョンを占めているのは、オーストラリア(71%)、インド(41%)、マレーシア(44%)、ベトナム(41%)です。一方、その他の国ではすべて、スマートフォンが最終コンバージョンデバイスの上位を占めており、香港(48%)、インドネシア(64%)、韓国(62%)、シンガポール(53%)、台湾(48%)という結果になっています。

データ量が豊富であればあるほど、キャンペーンが成功する可能性も高くなります。われわれの調査では、2台のデバイスキャンペーンよりも、3台のデバイスキャンペーンの方が160%も多くのコンバージョンを得られるという結果になっています。

4. 行動を予測することがAIの真価
Appierでは、未来の行動を予測することが、AIがもたらす最大の恩恵の1つであると考えてきました。何年にもわたって蓄積してきた豊富なデータセットを包括的に分析することで、ターゲットオーディエンスの行動を詳細に、かつ正確に予測することを可能にしています。

現在Appierが取り組んでいる画期的なプラットフォームの1つがAixon(以下、アイソン)です。データ・インテリジェンス・プラットフォームであるアイソンを活用することで、さまざまな企業のマーケターは、新規顧客の開拓、カスタマー・ニーズのさらなる理解、そしてAIによる行動の予測が可能になります。

アイソンは、企業が取り組む、次のような目的に利用することができます。

* オンライン購読者を増やしたいニュースメディアは、潜在的な購読者をオンラインで特定することがきます。
* ユーザーが興味を持っている話題を調べたいマーケターは、データを分析し、得られたインサイトを自社のCRMシステムに組み込み、コンテンツ戦略を最適化することができます。
* オンライン販売やコンバージョンを増やしたいeコマース事業者は、サイトのデータを分析し、オンライン購入の可能性が最も高いユーザーを予測することができます。
* モバイルアプリ開発企業はアプリをアンインストールする可能性のあるユーザーを特定し、リエンゲージメント対策を計画、実行することができます。
* 広告在庫の価値を高めたいオンラインメディアは、サイトを訪れるオーディエンスに関する、より詳細な分析を潜在的な広告主に提供することができます。

最後に
アジアの消費者動向に関するさらに詳しい情報は、「クロススクリーンレポート」に掲載されており、当社のWebサイトからダウンロードすることができます。また、ビジネスにAIが果たす役割について詳しく知りたい場合は、Appierにお問い合わせください。われわれは過去5年間、AIを使ってアジアの複雑なクロスデバイス利用動向を分析し、その結果を発信しています。Appierは、今後将来に渡って企業がAIをこれまで以上に
より多くの場面で利用するだろうと考えています。

著者について:
ジェニー・ジョンソン(Jennie Johnson)は、Appierのマーケティング部の責任者です。広報、オンラインおよびオフラインマーケティングを統括しています。Appierに入社する以前、Googleでは、アジアと米国の14の市場で、さまざまなコンシューマーおよびビジネス製品に関する広報を担当していました。また、地域の専門チームを率い、アジアのオンラインビジネスの成長にGoogleが果たしている役割や認識を広めることに貢献しました。ハーバード大学で東アジア研究の学士号を取得しています。

編集部より:Appierでは当社のリーダーシップチームや業界のオピニオンリーダーたちが執筆する企業向け人工知能(AI)に関する考えなどを発信していく予定です。当ブログを転載または転用する場合は、[email protected]までご連絡ください。